IT業界, 書評, 社会

ジェネラルパーパス・テクノロジー 日本の停滞を打破する究極手段


超整理術などで有名な野口さんとアスキーの遠藤さんの本。久しぶりに面白いと思った。1995年には世界でトップだった日本人一人あたりのGDPが現在22位まで落ちてしまった。この理由として、ジェネラルパーパス・テクノロジーであるITが世界の産業構造を製造業中心の工業社会からITを主力にライバル企業と戦う情報社会に変えてしまったのにかかわらず、日本が追随できていないことが原因としている。ジェネラルパーパス・テクノロジーとはかつての電気がそうであったようにゆっくりとだがドラスティックに世界の構造を変えていく技術とのこと。

またこの本では1980年代に導入されたメインフレームが20年経ってレガシーシステムとなり、足を引っ張っているという主張もあるが、これはメインフレーム=レガシーというより、むしろかつては最新システムだった基幹システムがレガシーシステムとなっても動き続けるぐらい組織に変革がなかったことも原因だと思う。このことは最後にも述べられている。

p.190
以上で述べたこととITシステムは、表裏一体の関係がある。「日本の情報システムが古いままなのは、日本の企業が変わらなかったからだ」といもいえるし、「日本の企業が変わらなかったから、日本の情報システムが古いままなのだ」ともいえる。

で、筆者も「はじめに」で述べているようにこの本は問題提起を行っているが、具体的な解決策はあまり示されていないのが残念。それほど根が深い問題と言うことだろうか。

similar posts

1 Comment

comment

よろしければ、コメントをどうぞ。トラックバックはこちら

このエントリーのコメントの購読

次のHTMLタグが使えます。: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <pre lang="" line="" escaped="">

*Required Fields