昨年末にマンガ喫茶で見つけた面白いマンガが「ラーメン発見伝」だ。このマンガ、主人公が普段はダメサラリーマンなのだがラーメンのこととなると異常な情熱と知識を見せる点といい、ちょっとラーメン好きな同僚がヒロインなところといい、また最後のおちで上司に怒られてしめるあたり「美味しんぼ」と構成がちょっと似ている。(ただ雄山に相当するキャラはいない…と思ってたら出てきた!)
が、しかしこのマンガ、ラーメンに対する情熱と知識は本当に深い。このマンガによるとラーメンのスープにおけるイノベーションは本当に目を見張るものがあるそうだ。例えば以下は「ラーメン発見伝」2巻のトンコツ大戦争(後編)からの引用である。
九州系トンコツラーメンはトンコツ味っていう縛りがあるから、スープにトンコツ以外の材料を使う店はほとんどない。でも、縛りのない店ではトンコツ、鶏ガラ、煮干し、カツオブシ、野菜…あらゆる材料を好きなようにミックスして、独創的な味が生み出せたんだ。
なるほど…。トンコツラーメンはラーメンの進化の起爆剤となりながら、自らは時代にとりのこされてしまったわけですか。
そういえば以前テレビで最近の新進気鋭のラーメン屋はダブルスープといっていろいろなスープをミックスさせているというのを見たことがある。が、ここでふと思い出したのがWeb 2.0で有名なTim Oreillyが書いた有名なOpen Source Paradigm Shiftという記事である。彼はこの記事の中で、かつてオープンなPCのアーキテクチャー、いわゆるIBM PCを生み出したIBMがパラダイムシフトの扉を開いたのにもかかわらず実際に新しい時代の利益を得たのはマイクロソフト、インテル、Dellといった会社だったという1980年代の例をあげ、トンコツスープ同様イノベーションを起こした本人が必ずしもイノベーションの恩恵を受けないと述べている。そして同様に、今ソフトウェアの世界で起こりつつあるパラダイムシフトを引き起こしたのはオープンソースの開発者たちだが、実際にその恩恵を受けているのはYahoo!, Google, Amazon, eBayなどの会社だと述べている。もちろんラーメン業界と比べるとスケールは違うもののずいぶん似た話だと思い妙に感動してしまった。このTim Oreillyの記事、かなり面白かったのでおすすめです。長くて大変という人は梅田さんによるサマリーもあります。
で、このマンガ、このトンコツスープによるイノベーションに遭遇して老舗が味を守るべきか改良を重ねていくか悩んだりという話もありなかなか奥深いマンガなのでマンガ喫茶で読む本に困ったときおすすめの一品で私も続きを読むのが楽しみです。
つまり他の誰かが画期的なイノベーションを起こしてたとしても、心配しなくてもまだチャンスはあるということか。忘れずに憶えておこう。
昨年秋から鹿児島に仕事で行く機会が多く、鹿児島ラーメンを何回か食べたのですが、九州で多いとんこつ味だけでなく、魚介系スープのラーメンも多く、博多ラーメン、熊本ラーメンとは異なる味を楽しめました。ラーメンが出てくる前に大根の浅漬けが出てくるお店もあったり野菜たっぷりのがあったり、なかなかユニーク。ラーメンではないが、カレーライフ(竹内真)という小説知ってる?絶対にカレーを作りたくなります。(私だけ?!)
カレーはときどき家でつくるような素朴なカレーが食べたくなって自分で作ったりしますが、最近作ってないですね。今度カレーライフを見て作っています。